Shaker History
シェーカー教団は19世紀を中心に、アメリカで活動したキリスト教団体です。
厳格な教義のもとに田園で共同生活を送り、祈りと労働の日々を送ったといわれます。
教団は1774年に教祖アン・リーがアメリカに渡ったところから始まり、1830〜50年頃が最盛期でした。
この頃には信徒は6,000人に及び、全米19ヶ所に共同体が建設されました。
シェーカー教団は私有財産も結婚も否定する再臨派のピューリタンでしたが、信仰の自由と平安を求めて、多くの人々が信徒になりました。
その背景には当時のアメリカ社会の厳しさがありましたが、同時にその社会の状況の変化がまた、シェーカー教団の衰退の原因にもなりました。
南北戦争以後のアメリカ社会の工業化は人々の暮らしにも、シェーカーにも大きな影響を与え、19世紀後半から次第に教団の活動は徐々に縮小されていきます。現在ではメイン州のサバスディレイクのコミュニティーに数名の信徒が活動しています。
UNOHではShaker教徒が残したことを手本として、日々の生活と制作活動に励んでいます。
シェーカーの人々は俗世間を離れて田園で共同生活をおくりました。
教祖アン・リーは堕落した社会を捨て去り、自然の秩序にある善に従い、高い徳性を持ったキリスト者として生きよ、と説きました。
一切の虚飾を排した率直さ、明瞭な秩序、単純な美しさ、などが美徳とされ、それは生活の具体的な態度や習慣の中で実行されました。
信徒の暮らしは細部にわたって厳しく規定されていましたが、かといって単に教条に縛られていたわけではなく、俗世の煩雑さからと解きはなたれて美しい自然の中で神との隣在感を持つ、充実した”Hands to work, hearts to God”の日々を送っていたと想像されます。
教団は農業と牧畜を基礎とした自給自足をもって社会から独立していました。生活に必要なあらゆるものを自分たちで作りましたが、いずれもその教義に基づいた有用性、機能性を重視した独自のデザインを完成しています。
シェーカーの人々が自給用に作った様々な用具の中で、とりわけ注目に値するのが家具です。
初期にはコロニアル様式やもっと素朴な農民工芸的なものからの影響をひきずっていましたが、次第にシェーカー独自のデザインができあがっていきます。
このシェーカー・デザインはその教義、たとえば次の様な言葉を背景に生まれたものです。
「規則正しいことは美しい」
「美は有用性に宿る」
「言葉と仕事は簡素であれ」
「調和の中には大きな美がある」
シェーカーの家具は、今でも博物館などで見ることができますが、そのフォルムの美しさと完成度の高さは、とてもそれが100年以上も前のものとは思えない”新しさ”を持っています。
1997年からアリス・ファーム(藤門弘 代表)の家具工房を引き継ぎました。
私自身、20歳のころからアリス・ファームでシェーカー家具製作に携わり完成されたデザインと機能美、製作上のさまざまな工夫に多大な影響を受けました。 振り返ると30年以上、シェーカーと向き合ってきたことになります。未だ新しい発見があり、益々のめり込んでいます。
シェーカーは私の家具デザインの師であり、シェーカースタイル家具製作は Life work です。
UNOH代表 宇納 正幸